PSAホルダー専用UVカットスリーブ商品について。

THE CARDオリジナルサプライの第二弾はPSAホルダー専用スリーブです。

N.が以前にTwitterにてスリーブ比較をしていた事を覚えていらっしゃいますでしょうか？
入手性・フィット性・フィルムクオリティー等追い求め、皆様にもさまざまな情報提供を頂きました。
あの時に思いました。自分で専用商品を作ってやろうと。
何千枚もPSAホルダーを扱っている中で、間違いなく利用するスリーブ。

妥協はしたくない。
どうせなら何も気にせず飾りたい。

そんな私のようなコレクター向け最高級品のスリーブを作ろうと。

PSA専用スリーブに求める要件定義をしていく。

どんなスリーブがコレクターにとって最適なのか？
自分がユーザー目線で求める仕様を考えてみた。

ぶかぶかすぎず、きつすぎず、最適なサイズ感
再剥離可能な糊テープ
スリーブの蓋が裏面カードに被らない
素材の透明度（鑑賞に耐えうるクリアなもの）
PSAホルダーを衝撃から守るフィルムの厚み
最大の敵の一つ「色褪せ」から守るUVカット機能
蓋の形状、今のスクエア型からの脱却（蓋の部分剥離の原因となっている）

どこまでこの仕様を満たすものが作れるか。
ここからPSAホルダー専用UVカットスリーブの作成が始まりました。

目玉機能はUVカット！UV（紫外線）について知見を深める。

カードショップ等でたまに見る色褪せたカード。

何故色褪せが起こるのか。

ほとんどの方がご認識している通り、色褪せの原因の一つとして紫外線（UV）があげられます。

それではまず、紫外線について知見を深めていきたいと思います。

紫外線の発生源として一番主たるものは太陽です。
太陽から発せられる光のエネルギーは莫大なものですが、光は実は電磁波の一種であり、波長の種類によって物質に与える影響は異なります。人間の視覚に反応するものは可視光線であり、光の波長は約400～800nmと言われています。

可視光以外の領域は人の目に見えない性質で、レントゲンに使用されるX線や殺菌消毒に使用される紫外線、ヒーターに使用される赤外線などがあります。紫外線は波長の違いによってUVCとUVB、UVA の3種類があります。

このうち、UVCのほとんどは地球を覆っているオゾン層によって吸収されるため、地表には届きません。また、地上に届く紫外線のうち90%以上をUVAが占めており、UVBは残り10%未満に過ぎません。

では、我々が大切にするカードの印刷、とりわけインクに影響を与える紫外線はどの種類なのか？

答えは「UV-A」です。

UV-Aは着色剤に褪色や変色などのダメージをもたらす波長と言われています。

特に印刷の紙の劣化する領域かつ、インクの分子構造破壊を招く波長帯が320-370nm前後と言われています。
よって、UV-Aの波長域の中、とりわけ320-370nmの波長の紫外線をカットしてやることで、紫外線からの攻撃、すなわち色褪せから守る事ができるのです。

◆インクは色により耐性が異なります。

実はインクは色により、紫外線の耐性が異なります。

これは、インク各色における分子構造の強度に関係してくるとのこと。

DICグラフィックス様の画像を引用し図で表すとこんな感じです。

カーボンブラックは炭素原子により構成されており、原子同士の共有結合は非常に強い。

黄色が一番弱く、次に弱いのが赤、そして青、最後に黒となります。

下記画像のような風景もみなさん一度生活圏内で目に入った事あるのではないでしょうか？

赤が弱くで青が強い証拠ですね。

大切なカードをこの色褪せから守る。これはコレクターである皆さんなら間違いなく持っている願望です。
この願望を叶える為にも、UVカットフィルムを利用したスリーブを作りたいのです。

ちなみにPSAホルダーにもUVカットの機能は備わっています。

PSAホルダーのUVカット機能

実はPSAホルダーは密閉による湿気対策以外にもUVカット機能があります。

【PSA日本支社HPより】
PSA特殊ホルダーでカードを密封し、優れた保護力でカードを守ります。現在、PSA特殊ホルダーは50％の UV 防御措置が施されていますが、カードを現状で維持するためには湿気が少なく暗い場所での保管をお奨めします。

LINK:PSA日本支社FAQページ参照　https://www.psacard.co.jp/faq

ですが、UVカット機能は吸収剤によるものなので、紫外線を浴びれば浴びるほど劣化していきます。できれば暗所で保管したいですが、鑑賞するのであれば今回のスリーブと合わせて利用することにより、紫外線からカードの劣化を防ぐ事が可能です。

※PSA専用UVカットスリーブも他の製品同様紫外線を吸収すればするほど劣化が進みます。ある一定の期間での交換をお勧めいたします。なお、期間の目安は保管する場所、紫外線の量により異なる為、一概には申し上げられません。ご了承ください。

話が少しずれてしまいましたが、今回制作する素材要件として、このUV-A領域の波長カット性能にすぐれたフィルムを探す必要があるわけです。

探すのに二ヶ月かかりました・・・結果なんとか作成して頂ける会社さんを見つける事ができました。

素材フィルム作成からのスタートだったのでかなり納期がかかりましたが、なんとか作り上げる事ができました。

今回利用するフィルム素材の特性について

今回作成のフィルム特性についてご案内させて頂きます。

◆なんと厚さ50ミクロンのOPP素材とCPP素材を利用したUVカット複合フィルム

→OPPとは、Oriented Polypropylene（二軸延伸ポリプロピレン）の略です。
原料であるポリプロピレンを、二軸（タテ・ヨコの二方向）伸ばしてフィルムにしています。
二軸に引っ張っているので、フィルムに腰があり、防湿性・透明度に優れているのが特徴です。
触るとパリパリした感触で強度がある一方、切れ目を入れてから引っ張ると簡単に割くことができます。みなさんお馴染みの素材です。
透明度が高く、また防湿性に優れているため、カードを守るといった観点からも、非常に向いた素材となります。

→CPPとは、Cast Polypropylene（無延伸ポリプロピレン）の略称です。
OPPがポリプロピレンを二軸に延伸しているのに対して、CPPは無延伸フィルムなので引っ張ると伸びる性質があります。
触るとなめらかで柔らかい感触です。

この2つの素材をラミネートした袋はOPCPラミネート袋と呼ばれ、外側には透明度が高く防湿性の高いOPPを使用し、内側にはなめらかで耐摩耗性の高いCPPを使用して作られます。そしてここにUV吸収剤成分が添加されています。
それぞれの特長を活用した袋で透明性も抜群です。

UVカット複合フィルムの特性について

ここまで、紫外線とインクの関係をご説明させ頂きました。
では、今回利用しているUVカットフィルムの特徴をご紹介しましょう！

【試験No 】452-17-A
【試験機関】一般財団法人化学物資評価研究機構＜紫外可視光スペクトル測定＞　
【試験方法】紫外可視吸光光度法（測定装置：島津製作所製UV-2600）測定波長200〜600nm

ご覧いただいた通り、紙・インクの劣化に影響する波長である320nmぐらいから380nmぐらいまでにかけてUV90%カット、UV-A全体のアベレージでみても80%カットの性能を持つフィルムです。

PSAケースのUV50％カットの性能と、このスリーブの性能を掛け合わせれば大切なコレクションもしっかりと守る事ができる商品になりました！！

サイズ感はPSAホルダー専用設計！

N.が拘ったのはUVカットだけではありません。
今までの既製品を使っていく中で感じた不満を解消したいと思い、ミリ単位のサイズ設定に拘りました。

横幅はHEIKO社の85mmだとかなりきつい（相方が封入に苦戦したことから入れ慣れない人にとっては・・・）カードボード社の製品は87mmですんなり入るが遊びが多少気になる。っということで横幅は86mmで設定。
次に袋のサイズ。蓋を折る際、袋の余る部分を巻き込んで折る際、シワになったりする事がHEIKOではありました。その為、ケースの高さと袋の高さを面一に設定。巻き込みをなくす設計に。
蓋の長さにも拘りを。他社製の蓋はどのメーカーもおるとカード裏面にオーバーラップします。今回の設計ではカードに蓋がオーバーラップしないよう長さを調整。

こんな些細な事ですが、自分自身が使って気になっているところをとことん潰していきました。
残念ながら横幅に対しては機械の公差が±1mmあるため、物によって多少のずれが生じる可能性がありますが、できるところまでは突き詰めました。※N.が50枚ほどピックアップして実際に入れ見ましたが誤差はほとんど見られませんでした！！やりました！

パッケージにも拘りました！

前述に少し記載させていただきましたが、フィルム素材のUVカット性能は残念ながら永遠ではありません。

紫外線を吸収していけばいくほど、性能は落ちていきます。

使いかけのスリーブも暗所で保管してもらえれば良いのですが、今回は遮光性のあるアルミパックを製品梱包材として採用しました。

これにより、スリーブを紫外線から守り、クオリティーと性能を保ちながら保管が出来ます。

また、これは私だけかもしれませんが、OPP袋に入ったスリーブはどうしても蓋に糊がついているパターンが多く、新品のスリーブがその糊にくっつきもどかしい思いをすることがあります。

そんな思いをするのも嫌なので、今回採用のアルミパッケージはジップ付きとさせていただきました。

遮光性のジップ付きアルミパッケージを採用、使い切らなくてもクオリティーはそのままで！

更なる高みを目指して！

実は、今回発売するスリーブの上位品として、更なる高みを目指したスリーブを製造中です。
具体的には素材は変わりません。ですのでUVカット機能に関しては、どちらの製品も同等です。
何が違うのか・・・それは蓋の部分の形状です。
複数枚所持してくると、サイドの蓋部分が重なりあって、蓋の一部が折れたり剥がれたり・・そんなことありませんか？
そんな不満を解消しつつ、蓋を折った際、角が綺麗に見えるような形状に進化させたものを発表予定です。
乞うご期待ということで楽しみにしていてください。

最後に、センタリングツールに続く第二弾のサプライ品。
どれだけの方が手にしてくれるかは全くの未知数ですが、Twitterでの応援やDM、本当に励みになりました。
素人制作の延長ですので、どこまで満足頂けるか不安でなりませんが、何かございましたら遠慮なくフィードバック頂ければと存じます。
クラウドファンディング的な感覚で応援購入頂けると幸いです。
しっかりとしたものをお届けできるよう、引き続き頑張りたいと思います。
ありがとうございました！そしてよろしくお願いいたします！

Produce By THE CARD N.